脚痩せのこんな印象
日本の人間ドックや健康診断では、このBMI値を使って、次のように肥満度を分類することが多い。
二五〜二九一度肥満、一二〇〜三四2度肥満、三五〜三九3度肥満、四〇以上4度肥満。
一方、欧米では、同じBMIから、一八〜二四正常、二五〜二九体重オーバー、三〇以上肥満とする分類法がよく使われている。
これは、世界保健機関)肥満分類がもとになっている。原法はもっと細かく分類されているが、実務では、このように三段階に分けることが多い。あまり細かく分けてしまうと、
あいまいさが増し、実用性が失われてしまうからである。
分類法はともかく、BMIの考え方は世界的に普及していて、特に学術的な調査研究での利
用が奨励されている。
ところがそのBMIに対して、肥満度をあらわす指標としては不適切とする意見もでてきた。
ある医学雑誌には、こんな記事が掲載されている。
「アメリカンフットボールのスタープレイヤーで、BMIが三〇という人がいる。しかし彼
の体脂肪率はわずか六パーセントしかない。一方、高脂血症があり、体脂肪率が三五パーセントという中年の女性もいる。この女性のBMIは二六となる。この二人をBMIだけで比較すると、フットボールプレイヤーの方が肥満ということになってしまい、理屈にあわない」というのである。確かにそのとおりだ。
このような批判に答えるために考えられた、新しい指標が体脂肪率だった。日本でも、いち早く人間ドックなどに導入されたことから、広く知れわたるところとなったのである。BMIと体脂肪率をいっしょにはかっておけば、前述のような批判にも答えることができそうだ、というわけである。
そこで話題の体脂肪率について、理解を深めておきたい。
まず水中で体重をはかる場面をイメージしてほしい。体が完全に浸るくらいの大きなタンクに水をはく、中に体重計を入れておく。そこに、そっと乗ってはかるのである。もちろん、体重計そのものを水浸しにして使うのではなく、天井にくくうけた秤からブランコのようなものを水中まで吊くさげ、そこに人が乗る。
もし体がちょうど水と同じ重さであれば、測定した結果はゼロとなる。しかし人間の体には、ミネラル分など、水より重い成分がいろいろ含まれているため、実際の体重は水より少し重くなる。ポイントは脂肪の割合である。脂肪は水より軽いため、その割合が多ければ、水中ではかる体重は小さくなるはずだ。
こうして水中ではかった値を、普段の体重から引き算すれば、脂肪量に比例した値がえられることになる。もちろん、この値が脂肪量そのものをあらわしているわけではなく、ある理論式にしたがって変換を行うのである。
ただし、さまざまな誤差が生じうるため、実際の測定は簡単でない。たとえば肺の中に残る空気が大きな誤差要因になることから、息を完全にはきだしてからはからなければならない。
しかし、そのような状態で、頭の先からつま先まで完全に水中に浸るのは危険で、顔を水面にださざるをえない。そのことがまた誤差要因となってしまう。
たとえ自分の意思で息を精一杯、はきだしたとしても、肺には必ず空気が残る。その量を推測しておかなければならないし、当然、胃腸の中にもガスがある。肺の空気量は特殊な方法で予測できるが、胃腸のガスまでははかれない。
つまり体脂肪率は、細心の注意をはらい、かつかなりの手間をかけても、なお確実にはかるのが難しいのである。
幸い、もっと簡単に体脂肪率を予測できるという方法が考案された。
原理は簡単で、手首と足首にそれぞれ電極をつなぎ、ごく弱い電流を流す。脂肪、水分、筋肉の割合によって電気抵抗が異なるため、電流量も変化することになるが、その変化を予測式に代入して脂肪量を求めるのである。
この方法は、電気抵抗法あるいはインピーダンス法とよばれている。市販されている体脂肪計の多くは、この原理を応用したものである。家庭用の体重計と一体になったものもあり、ヒット商品になっている。体重計を利用した方式では、両足に電極を触れさせてはかることになるが、簡便さからいえば申し分ない。
なお電極とは、電圧や電流をはかる際、体に装着する金属片のことをさしている。心電図などを記録する際にも使われているが、人間の皮膚は表面が角質化しているため、電気がとおりにくく、使うたびにクリームを塗らなければならない。
体重計方式の最大の利点は、体の重みで皮膚と電極が密着するため、クリームがいらないことから遜色なく、手首と足首に電極を装着してはかる方法とおりらべても、測定結果に遜色ないこともわかっている。いろいろな意味でグッドアイデアなのである。
体に流す電流は、五〇キロヘルツで五〇〇マイクロアンペあり、らいである。安全性にまったく問題はなく、もちろん感電することもない。難点は、測定結果がいろいろな条件で変化してしまうことだ。電極の形状、体内の水分量、食事の内容、体位、体温などで値がかわってしまうのである。服用中の薬の影響をうけることさえある。
これらの変動要因に万全の注意をはらった上で、同一個人を繰り替えし測定すると、結果のばらつきはかなり小さくなる。
体脂肪率は、測定が簡単で装置も安価なため、いっきに世界中にひろまった感がある。また体脂肪率という言葉が誰にとってもわかくやすかったことから、流行語ともなった。
しかし体脂肪率については、学術的な批判が二つある。
肥満には二つのタイプ、つまり全身に脂肪がつくタイプと、内臓だけにつくタイプがあり、
後者の方が病気との関連性が強い。電気抵抗法でえられる値は脂肪全体をまとめてはかったものであるため、二つのタイプを区別することができないのである。
事実、体脂肪率と病気との関係を明確にしめしたデータは、どこにも存在しない。おそらく、多数の研究がなされてきたのであろうが、はっきりした結果がでなかったものと思われる。
もう一つの批判は、測定装置の中に組み込まれている予測式が不完全で、誤差が大きいというものである。特に肥満が高度になるほど間違った値がでやすい。肥満をはかるための装置が、肥満者で誤差が大きいのでは話にならない。また、体脂肪が極端に少ないボディビルダーなどでも誤差が大きいという。
脂肪、筋肉、水分の割合によっては、予測式が狂ってしまうのである。人間の体は個人差が大きく、この間題はどうしても避けられない。特に誤差をもたらす原因は水分量である。激しく汗をかいたあとでは大幅に低値となく、多量の水分をとると高値になくやすい。同一人であっても、水分摂取量、室温、食事時間などで結果が違ってしまうことになる。
また、体脂肪率は、ダイエットの効果を大規模に調べた研究から、ほぼBMIに正比例して
変動することがわかっている。特に女性でそうなのである。したがって、減量の効果をみるのが目的であればBMIだけでよく、わざわざ体脂肪率をはかる必要はないことになる。
メジャーを使ってウエスI回りをはかるというのも一つの方法である。ただしウエスIだけ
をはかっても、体の大きな人と小さな人を公平にくらべられないような気もする。そのため、体の大きさの分を補正する方法がいろいろ考えられてきた。
外国で広く行われてきたのは、ウエスト回りをヒップ回りで割り算するというものである。
これをウエスト・ヒップ比という。ヒップとウエストの比であらわすというのは確かにわかくやすい。
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